鈴木猛史選手

 カヤバは、チェアスキー用ショックアブソーバーの開発をはじめ、日本障害者スキー連盟に対する協賛と技術サポートを実施している。2015年、ソチ五輪金メダリストの鈴木猛史選手が入社したのを機に、さらに完成度の高い製品開発とともに社会貢献へと活動の幅を広げている。

 同社がチェアスキー用ショックアブソーバーの開発・改良に携わり始めたのは1990年代初頭。それ以前の日本製チェアスキーには二輪車用の市販製ショックアブソーバーが使用されていた。チェアスキーのショックアブソーバーは、人間の膝の役割を果たす機能。スキー板に伝わる力や滑るリズムは、ショックアブソーバーの減衰力とスプリングで大きく変わるだけに、優れたショックアブソーバーがなければ上位に食い込むことは難しい。

 98年の長野五輪で、アルペン競技強化のために開発プロジェクトが立ち上がった。同社は、日本障害者スキー連盟アルペンスキーナショナルチームと連携してチェアスキー用ショックアブソーバーの開発を行った。同社が開発・製造しているスノーモービル用のショックアブソーバーは、マイナス30度でも安定した性能を発揮できるように設計し、特殊な作動油を使用している。この技術とノウハウを生かした。また、モトクロス競技用のチューニング手法でセッティングすることでタイムが大きく改善されたという効果も得られた。

 同社のコア技術である油圧技術を活用したチェアスキーの開発をはじめ、各国で行われるワールドカップなどで技術サポート、鈴木選手とともに競技活動を通じてチェアスキーの支援を強化している。

さらに、鈴木選手が、アスリートとして小中学校での講演活動など多くの社会貢献活動を行っている。