公正取引委員会(公取委)は8月6日、ダンロップタイヤ(河瀬二朗社長、東京都江東区)が独占禁止法違反が疑われる行為をしたとして、行政処分の「確約手続き」を適用したと発表した。同社はオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」の販売にあたり、小売り業者に対して値引きをしないよう要請していた。ダンロップタイヤが提出した改善計画を踏まえ、独禁法違反の認定は行わないが、今後5年間、履行状況の報告義務を課す。
公取委によると、ダンロップタイヤは2024年10月から25年4月までの期間、小売り業者に対してシンクロウェザーを小売り希望価格で販売するよう要請していたほか、送料を無料にするなどの割引やインターネット(ECモール)での販売などをしないように要請していた。
これらの行為が独禁法第19条に違反する疑いがあるとして、ダンロップタイヤに確約手続きに関わる通知を実施。ダンロップタイヤは再発防止策をまとめた改善計画を公取委に提出した。公取委は、同改善計画が「当該行為が排除されたことを確保するために十分なもの」と判断し、確約計画として認定した。
確約手続きは、企業に自発的な是正計画に沿った改善を求めるもの。認められれば、独禁法違反としては認定されない。ただ、ダンロップタイヤは今後5年間、公取委に対して改善計画を履行できているか報告する義務がある。
シンクロウェザーは、ダンロップタイヤの親会社である住友ゴム工業が生産しているオールシーズンタイヤ。24年に発売した。
住友ゴムは、公取委による確約手続きを受けて「当社グループ全体における独禁法をはじめとする法令遵守の徹底を一層強化していく」とコメントを発表した。