1970年代のポルシェ「911」(930型)の半導体は8個
現在のシュコダ「エンヤク」は制御ユニットが90基

 フォルクスワーゲン(VW)グループは、半導体をはじめとした電子部品調達を直接購買に切り替えると発表した。従来はティア1サプライヤーに任せていた半導体などの選定・調達を見直し、戦略的に重要なユニットについては自社で直接調達する。今後はティア1などと協議した上で、グループ各社の調達部門がどの半導体や電子部品を使用するかを決定する体制に移行する。電子部品の需給状況を正確に把握し、リスク回避につなげることが狙いとする。

 VW乗用車部門で調達を担当するディルク・グロッセ・ロハイデ取締役は「半導体のサプライチェーンの高い透明性、具体的な部品の使用知識を持つことで、これらの部品の世界的な需要・供給状況をより正確に把握することが可能になる。これを将来的に個々の電子部品のレベルまで拡大できれば、早期にボトルネックを検出し、代替部品の選定などリスク回避に役立つ」と、直接購買の狙いを述べた。

 同グループは半導体の使用状況について、1978年のポルシェ「911」では8個にとどまっていたが、現在はシュコダ「エンヤク」には90基の制御ユニットと約8千点の電子部品が搭載されるなど、使用料が飛躍的に拡大したという。さらに電子部品の平均価格は2023年の600 ユーロ が2030年には2倍以上に膨れ上がると見通す。

 新型コロナウイルス感染症に伴う半導体不足の影響はいまだに残っている。この教訓を生かして調達戦略を見直し長期の車両生産の安定化を目指すことにした。

(2023/8/31修正)