スチールホイールは鉄スクラップを電炉で溶かして製造している

 トピー工業は、電炉製造由来や再生可能エネルギー由来の鉄スクラップをほぼ100%使ったスチールホイールを2030年にも世界で初めて量産する。同社は国内の乗用車向けスチールホイールで約5割のシェアを持つ。生産ライン組み付け用ホイールも市販品のようにアルミ化が進むが、製造時に出る重量当たりの二酸化炭素(CO2)が鉄より4割ほど多い。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)機運の高まりを踏まえ、スチールホイールの利点を最大化して自動車メーカーに売り込む。

 自動車用ホイール大手の同社はスチール製、アルミ製のどちらも手がける。スチール製は鉄スクラップを電炉で溶かして加工しており、自社工程で出た鉄スクラップを再利用するスキームも構築している。現在は鉄スクラップの一部を外部から購入しているが、この外部購入分を電炉由来や、鉄鋼各社が力を入れる「グリーンスチール」由来の原料に置き換え、30年にも豊川製造所(愛知県豊川市)など国内拠点でスチールホイールを製造する方針だ。

 アルミホイールは、素材としては軽量だが、ライフサイクルアセスメント(LCA)ベースのCO2排出で見ると、再エネ由来の電力を使わなければCO2排出が鉄より3~4割多いとされる。精錬に大量の電力を消費するためだ。

 自動車メーカーでは、車両全体のLCA視点におけるCO2削減量を重視する傾向が強まっており、グリーンアルミを用いたスチールホイールの需要も一定量が見込めると判断した。30年の量産に向けて、自動車メーカーのニーズを踏まえながら準備を急ぐ。