微粒子フィルムの形成プロセス

 横浜ゴムは、有機溶剤や補強剤などの添加剤を使わずに、亀裂に対して高い耐久性を持つゴム材料を開発したと発表した。信州大学学術研究院の鈴木大介准教授らの研究グループと共同で、高分子微粒子(100万分の1メートル以下)を活用して開発した。同社はさらに研究を進め、人や環境に優しく、耐久性の高いタイヤやゴム製品の開発につなげるとしている。

 ポリマーの強じん化に向けて、「ミニエマルジョン重合法」で合成した高分子微粒子と微粒子分散水溶液を用いた。この分散水溶液の水を蒸発させ、ゴム材料となる微粒子フィルムを作製。さらに分子の機能を制御したり新機能を発現したりできる超分子化合物「ロタキサン分子」を微粒子内部に架橋剤として導入することで、亀裂が広がりにくい性質を持たせることに成功したとしている。

 微粒子フィルムは水とエタノールで分解、再生ができ、リサイクルも容易だという。同社はこの技術をタイヤ以外のゴム製品を含め、幅広く適用するため研究を続けていく。