ソフトバンクが出資するユビ電(山口典男社長、東京都港区)は4日、電気自動車(EV)充電事業を大幅に強化する方針を発表した。マンションなどの集合住宅の駐車場で個別に基礎充電(普通充電)できる設備の導入を推進。2023年の累計設置数を前年末から約4倍となる4千ポートに増やす。24年度にはチャデモとコンボ、テスラ車向け「NACS」方式の急速充電器市場にも参入する。

 同社は福岡市東区のアイランドシティにある既設の分譲マンションの駐車棟429区画に、個別に電動車を充電できる「ウィチャージ」の導入が決定したと発表した。EV基礎充電インフラとしては国内最大規模となる見通し。

 クラウドと接続するスマート分電盤とウィチャージが、全429基の電力供給を最適に制御する。電力が余剰になる時間帯にEVに充電するなどして電力需給を安定化する。EVユーザーも充電料金を低減できるとしている。系統電力に対する負荷も小さい基礎充電を低価格で展開することで、EVが普及する環境を整える。

 ウィチャージの22年末の累計設置箇所は519ポートだった。すでに累計3500ポートを受注しているが、23年末までに4千ポートに拡大する見通し。同社は25年末までに累計8万ポートの導入を目指している。

 また、同社はこれまで基礎充電インフラだけを展開してきたが、24年には急速充電インフラ市場に参入する。チャデモ方式に加え、NACS、欧州で普及しており、国内でも一部輸入車が採用しているコンボ方式にも対応する急速充電器を開発中で、高速道路などに整備していく方針だ。