「格安」を強調したロードサービス事業者から、高額な請求をされるトラブルが相次いでいる。ある事例ではインターネット広告で「基本料金数千円から」となっていた事業者に連絡したユーザーが、出動費や作業費、緊急対応費など広告に掲載がない費用を含めて約30万円を請求されたという。こうした事態を受け、日本損害保険協会(損保協、白川儀一会長)も2023年度から注意を呼び掛け始めた。自動車保険に付帯するロードサービスは、事故だけではなく故障の時も使える。損保協では「いざというときは、まず損保会社や保険代理店に連絡してほしい」と訴えている。
損保協によると、高額な請求をした事業者に、ユーザーがキャンセルの意向を伝えたところ、10万円のキャンセル料を求められたケースもあった。また、「○○保険と提携しているので、全額保険会社から支払いを受けられる」と、うその説明をされた例もあった。
東京海上日動火災保険が把握しているものでは、顧客に勤務先や給料日を申告させ、支払いが滞った場合の訪問をほのめかされたりしたこともあったという。所持金が不足していると、現金自動預払機(ATM)まで誘導し、現金を引き出させた例もある。
車の故障や事故などに遭遇したドライバーが、焦ってスマートフォンで検索。サイトで上位にくるロードサービス事業者に連絡してしまうことが一因のようだ。
全体のトラブル件数については国民生活センター(国が運営)や損保協は把握していないというが、警察による逮捕事例も出ている。
愛知県警は3月、40歳代の男性を特定商取引法違反の容疑で逮捕した。20歳(当時)の女性の車のバッテリー交換の契約をする際、「クーリングオフはしません」と女性に書かせた疑い。この作業で女性は約10万5千円を請求されたという。この業者のホームページでは「基本料金3480円から」と書かれていた。
損保協では自分が契約している保険会社や代理店に電話できれば、ロードサービスが付帯しているか確認できるとしている。もしそうでない場合でも、まず、車を買ったディーラーに相談したり、日本自動車連盟(JAF、坂口正芳会長)などの会員制サービスを利用できるか確認することを勧めている。