自動車関連企業の担当者や市場調査会社の関係者などが聴講した

ジオテクノロジーズ(杉原博茂社長CEO、東京都文京区)は4月27日、「SDV(ソフトウエア・デファインド・ビーグル)時代、ジオテクノロジーズとできること」をテーマに「ジオモビリティ2023」を都内で開催した。ソフトが自動車の進化を主導するSDV時代において、カーナビゲーションシステム(カーナビ)が果たす役割や、ビックデータの利活用などについて専門家を交えながら講演会が実施された。

車両や人の移動データを災害対応などに活用した事例を説明した「うごく街」の今井武代表理事。SDV時代におけるカーナビに期待する効果についても言及した。一例として渋滞を予測して回避するルート提案機能や、事故などによる通行止めを把握して最適ルートを提案する機能などを挙げた。実現するには従来の統計情報や静的データにリアルタイムの車両の走行状況を示すプローブデータや画像データなどを組み合わせて地図更新を実施できるシステムが必要になると説いた。

名古屋大学の野辺継男未来社会創造機構客員教授は、次世代カーナビとSDVの連携の重要性を伝えた。SDVによりカーナビがクラウドとつながることで、車両情報のほか、リアルタイムでゲリラ豪雨などの異常気象や道路状況などの情報を運転手に提供して運転支援につながる可能性があると明示した。

地図データや自社アプリケーション(アプリ)サービスなどから得たビックデータの活用を紹介したのはジオテクノロジーズの平野宗亮執行役員オートモーティブ営業本部長だ。同社が蓄積したユーザーの属性情報や移動情報からユーザーの趣向に沿ったサービスの提案を例示した。例えば、車載機器を通じて運転者が普段から利用する店舗をクラウドが把握することで、ドライブ中に同じ店舗または類似性の高い店舗を見つけた場合、車載機器を通じて運転者に情報提供するような機能だ。

SDV時代においてソフト開発の強化や多様なデータの収集・分析は欠かせない。一方で、サービスとユーザーをつなぐハードウエアの存在も不可欠だ。「メカニカルエンジニアとソフトウエアエンジニアが手を組み合って次世代モビリティを作ることが重要」と杉原社長CEOは強調した。