ポスコの崔会長とホンダの三部社長(右)

 ホンダは11日、韓国の鉄鋼大手、ポスコホールディングスと駆動モーターに使う電磁鋼板の量産や電池のリサイクルなどについての協業を検討すると発表した。ホンダはポスコから自動車用鋼板を調達しているが、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の達成に向けて協力関係を広げる。

 同日、両社の代表者がカーボンニュートラルの実現に向けた包括的な協業の検討で基本合意した。協業領域は①電磁鋼板②電池③リサイクル④車体鋼板の4つ。モーターコアなどに使用する「無方向性電磁鋼板」の量産適用や再生材を使用した電池の「クローズドループリサイクル」の実現のほか、次世代電池用材料に関する技術交流や、正負極用材料の調達、軽量化に向けた超高出力鋼板の採用、車体鋼板の製造時に排出する二酸化炭素(CO2)の削減でも協業する方針だ。

 ポスコはホンダに1990年代半ばから自動車用鋼板を供給してきた。近年は、無方向性電磁鋼板の増産投資を積極化しているほか、電極材の増産やリチウム鉱山の買収など、電気自動車(EV)向けの事業を広げている。ホンダは30年に年間200万台のEVを販売する方針で、サプライヤーとの関係を強化する。

 三部敏宏社長は「電池材料、リサイクル、鋼板、電磁鋼板の幅広い知見を持つポスコとのパートナーシップ拡大でホンダの電動化戦略はさらに加速する」とコメントした。ポスコの崔正友会長も「バッテリーのフルバリューチェーンを保有しているポスコグループがホンダのEV拡張戦略に大きく役立つ」とした。