すでに国内拠点のエネルギー使用量(写真左)などを可視化している

 トピー工業は、デジタル技術を活用した生産拠点の「スマートファクトリー化」に4月から乗り出す。乗用車用スチールホイールを手がける豊川製造所(愛知県豊川市)をモデル工場とし、国内7工場や海外工場を順次、スマートファクトリー化していく。生産性向上やカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)、働き方改革などの対処を急ぐ。

 スマートファクトリー化に向け、まずは汎用の統合基幹業務システム(ERP)を本社や主要拠点に導入した。拠点ごとのエネルギー消費を把握し、好事例を展開したりして省エネルギーの徹底につなげている。今後は事務部門も含めて業務をERP上で標準化し、単純作業や残業時間を減らしていく。DX戦略を担当する武澤雅吉専務取締役は「DXで人は減らさない。今いる人材でいかに残業時間を減らし、(仕事を)高付加価値化できるかが重要だ」と語った。

 豊川製造所では、生産ラインにセンサー類などを取り付け、関連データを本社と共有する。工程ごとの生産実績を可視化してボトルネック工程を改善したり、予兆保全を含めて品質不良を防いだりする。3月までに豊川製造所での実証を終え、残る国内6工場でも、製造している製品や使用している設備などに応じて豊川製造所での事例を応用する形で展開していく。

 米国や東南アジア諸国連合(ASEAN)などに持つ海外工場についても、ERPへの切り替えと合わせてスマートファクトリー化を進めていく考えだ。

 同社は電炉メーカーだが、自動車用ホイールも手がけ、国内で高いシェアを持つ。競争激化に加えてエネルギー・原材料価格が上昇する中、各事業部門からのデータをフル活用して経営課題に対処していく。