スズキは1月26日、2030年度に向けた成長戦略を発表した。23年度から30年度までに電気自動車(EV)や電池の開発・生産などに約2兆円を投じて電動化を加速し、今後7年間で日本、インド、欧州に、のべ17車種のEVを投入する。電動化を加速する一方、インドや新興国での事業を拡大し、30年度までに売上高を21年度実績の約2倍となる7兆円に引き上げる目標も公表した。

主要3市場でのEV投入計画とEV比率の目標を示した。日本では23年度に投入する軽商用EVを皮切りに、小型SUVや軽乗用EVなど6車種を30年度までに投入。インドは6車種、欧州は5車種を24年度から発売する。30年度時点のEV比率の目標は、日本が20%、インドが15%、欧州が80%とした。

一方、ハイブリッド車やCNG(圧縮天然ガス)、バイオガスなどを使用した内燃機関車も地域に応じて投入し、二酸化炭素(CO2)の削減を図る。インドの場合、政府は30年までにEV比率を30%に引き上げる目標だが、鈴木俊宏社長は「全土にわたって充電網を作るのは簡単ではない」と、インフラ整備などを理由にEV以外の選択肢にも力を入れる重要性を強調した。日本でのEV普及についても「120万カ所くらいの充電インフラが必要。インフラ、当社の車、そしてお客さんにも(車に対して)本当に必要なものに割り切ってもらうこと。この3つの組み合わせでカーボンニュートラルを達成できる」と述べた。

製造時のCO2削減にも注力し、国内の全工場で35年度までに自社工場で排出するCO2を実質ゼロにする。21年2月に発表した中期経営計画では、30年度に浜松工場をカーボンニュートラルにする計画を示していたが、無駄なエネルギーの削減や再生可能エネルギーの活用拡大を加速し、当初計画より3年前倒しとなる27年度に排出量実質ゼロを達成する。

投資関連では、30年度までに2兆円の研究開発費を投じ、カーボンニュートラルや自動運転の開発を進める。設備投資は、電池の生産工場や再生可能エネルギーの利用拡大に2.5兆円を投じる計画だ。研究開発費と設備投資のうち2兆円を電動化関連に充てる。これまでに比べて投資は膨らむものの、トヨタ自動車との協業拡大などを通じて投資額を最低限に抑え、収益体質を維持した上で、電動化の推進と売上高の拡大を図る考えだ。

(2023/1/27修正)