トヨタ自動車は14日、タイで地元大手財閥のチャロン・ポカパン(CP)グループと水素関連事業などで協業を検討すると発表した。養鶏場の糞尿から発生するバイオガスを使った水素製造の実証や、この水素を用いた燃料電池車(FCV)をコンビニエンスストアの配送トラックとして走らせることなどを検討する。タイ政府は電気自動車(EV)を推進するが、充電インフラや割高な車両価格など普及のハードルは高い。タイの自動車市場でシェア首位のトヨタは、FCVの実証を通じカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現に向けた多様な選択肢をアジアでも示す。
CPは、総売上高7兆円を誇るタイ最大の財閥企業で、工業から流通、畜産業、医薬品など多彩な事業を展開している。水素製造の実証はCPが所有する養鶏場の糞尿から発生するバイオガスを用い、経済特区での実証を検討する。水素ガスは、CPが展開する「セブンイレブン」向けの配送トラックで活用する。走行距離や積載重量に応じてEVの導入も検討する。
配送トラックは、コネクテッド技術による輸送の効率化にも取り組む。この協業にはトヨタなどが出資するコマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT、中嶋裕樹社長、東京都文京区)も参画し、日本で蓄積したノウハウも活用する。