販売店スタッフの業務効率化につなげる

 トヨタ自動車は、新車販売店の業務効率化や法令対応に向けた新たな金融プラットフォームを構築する。割賦販売の「キャッシュレス」「ペーパーレス」「デジタル化」の3つのサービスを提供するに当たり、2023年4月以降の割賦販売をトヨタファイナンス(西利之社長、名古屋市西区)への「債権譲渡型」に全面移行する。トヨタファイナンスの割賦債権買い取りに一本化することで販売店の財務リスクの低減にもつなげる狙い。今後、電動化や自動運転化に伴う車両価格の上昇によって割賦販売の利用はこれまで以上に高まる見通し。業務負担が増える中、共通の金融プラットフォームを活用することで販売店の生き残りを図る。

 トヨタでは個人向け販売の半数近くを割賦販売で占める。金融商品の取り扱いに伴う煩雑な手続きや法令対応で販売店スタッフの業務負担は増加している。4月以降に導入する新たな金融プラットフォームでは、割賦販売時のペーパーレス化、キャッシュレス化によってこうした業務を軽減する。

 また、トヨタ系販売店の多くは金融機関から直接資金を借り入れ、顧客と割賦販売契約を締結している。トヨタファイナンスでは顧客から代金を回収し販売店に送金する「集金保証」を担っていたが、4月以降はトヨタファイナンスが資金調達し、販売店の割賦債権を買い取る債権譲渡型へと全面的に移行する。これにより、新たなプラットフォームでは債権と債務を相殺して決済を行う「ネッティング」を実現し、販売店の財務担当者の業務を削減する狙いだ。また、割賦比率と車両価格の上昇、欧米の利上げを背景とした金融市場の不確実性が高まる中で、販売店の財務リスク低減にもつなげる。

 トヨタでは、金融プラットフォームの導入によって販売店の業務効率化と財務リスクを低減し、顧客に向き合う時間や地域のモビリティサービスなど新ビジネスの創出に向けた時間を捻出したい考え。また、販売店で不正車検や個人情報の不適切な取り扱いが相次ぎ発覚する中、金融商品の取り扱いや財務リスクに対するガバナンス(企業統治)強化に結び付ける。