東京ハイヤー・タクシー協会(東タク協、川鍋一朗会長)は、「動く防災・防犯の目」となり地域を支援する活動を展開している。都内を巡回するタクシーの特性を生かして、地域の安全・安心につながる存在として定着している。

 阪神淡路大震災翌年の1996年1月、車内に災害時優先電話を搭載した「防災レポーター制度」をスタートした。大地震などの災害が発生した際、タクシーは現場の第一目撃者となることがある。そのため、被災現場や周辺の様子、道路状況などを、東京都災害対策本部などに提供する体制を整えた。

 この制度は、東京都の「地域防災計画」に組み込まれている。災害初期の救助活動に使用できるよう、消火器や救急セット、ロープ、ジャッキ、バールなどの機材も提供する。上空からも確認できるステッカーを表示した防災レポート車は現在、会員68社の72台。233人の防災レポーターで運営している。

 2006年4月から継続しているのが「タクシーこども110番」だ。事件に巻き込まれそうになった子どもが助けを求めてきた場合、子どもをタクシー車内に保護するとともに、事情を聞いた内容や現在地などを警察に通報、警察の指示に従い子どもの安全確保に努めるなどの対応を迅速に行う。24時間走り続けるタクシーならではの活動だ。

 19年からは東京都の「ながら見守り連携事業」に加わった=写真。これは、日常業務をしながら、子どもや高齢者ら弱者を事業者に見守ってもらうことで、安全に安心して暮らせる地域づくりを行うのを目的としている。

 東京の法人タクシーは、ほぼ全車両にドライブレコーダーを搭載しており、これまでも犯罪発生時の警察への捜査協力などに積極的に取り組んでいる。「いつでもどこでも移動できる」タクシーの機動力を生かし、地域の見守り活動を行っている。

 (次回は5月27日付。五十音順に掲載します)