日本自動車工業会(自工会)は27日、オンライン記者会見で、2022年度に「成長・雇用・分配への取り組み」「カーボンニュートラル」など、5つの重点分野に取り組むと発表した。豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は、岸田文雄首相が掲げる「成長と分配の好循環」に業界として賛同を表明。その上で、14~19年にかけて自動車メーカーが全産業トップの賃上げ率になっていることなどを強調した。自動車産業はすそ野が広いだけに今後、サプライヤーなどを含めて「分配の事実を検証したい」としている。
豊田会長は自動車産業がコロナ禍でも雇用を22万人増やし、平均賃上げ率が14~19年で約2・5%と全産業トップであることを強調した。さらに分配を増やすためには「成長が必要」との認識を示し、国内での自動車の平均保有期間が15年以上と長期化している中で「滞留している(自動車の)保有を大きく回していくことが重要」と指摘した。平均保有期間を10年に短縮することで、国内市場規模が500万台から800万台に増え、自動車出荷額が7兆2千億円増加するとの試算を明らかにした。
また、カーボンニュートラルに向けては企業・グループ間の垣根を越えた連携が必要との見方を示し、「タスクフォース」組織を新たに立ち上げたことを明らかにした。会員自動車メーカーから集めた若手を中心としたチームがスピード感を持って課題解決に取り組む。
22年に取り組む重点テーマは他に「税制改正」「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)によるモビリティの進化」「自動車業界ファンづくり」で、同日の理事会で了承された。