日産自動車は3日、電動車のモーター磁石からレアアースを効率的に回収するリサイクル技術を早稲田大学と共同開発したと発表した。従来は手作業でモーターを分解する作業が必要だったものを、高温で溶触することで効率良く高純度なレアアース化合物を回収する技術を確立した。設備の大型化に向けた実証実験を開始し、2020年代中頃の実用化を目指す。
日産では現在、出荷基準に満たないモーターを分解してレアアースを回収し、磁石サプライヤーに還元する取り組みを行っている。17年からは早稲田大学創造理工学部の山口勉功研究室と共同で同校の大型炉設備を活用したレアアースの回収研究を実施しており、19年度に技術を確立した。
今回確立したリサイクル技術では、モーターに使用されたレアアースを98%回収し、プロセスを簡略化したことで従来より作業時間を半減することに成功した。
今後は2トン以上の大型炉設備での実験を行い、20年代半ばまでにリサイクルするスキームの確立を目指す。
産出量が少ないレアアースは全量を輸入に依存し、産出国にも偏りがあって特に中国への依存度が高い。供給不足と価格の乱高下、さらに採掘から製錬時における生態系への影響も大きいことから、日産では使用量の削減にも取り組んでいる。ハイブリッド車の新型「ノート」は、10年に投入した当時の電気自動車(EV)「リーフ」に比べて85%のヘビーレアアースの削減を実現している。また、今冬投入予定のEV「アリア」は永久磁石を使用しない巻線界磁型モーターを採用するなど、新規採掘資源ゼロを目指している。