世界的に新車需要は旺盛だが(トヨタ自動車九州の宮田工場)

 トヨタ自動車の収益改善が加速している。4日、発表した2021年4~6月期連結業績(国際会計基準)は、売上高や営業利益、純利益のいずれも第1四半期として過去最高を更新した。営業利益率も12・6%と過去最高だ。販売台数の急回復に加え、金融事業の収益改善や経費増を最小限に抑えたことが利益を押し上げた。ただ、通期予想は半導体不足や新型コロナウイルス感染再拡大による部品の供給制約などを踏まえて据え置いた。

 同期間の連結販売台数は214万8千台(前年同期比85・5%増)。ダイハツ、日野ブランドを含むグループ総販売台数は第1四半期として過去最高の275万9千台(同49・3%増)だった。新型車効果やコロナ禍の移動需要などを取りこみ、全地域で販売が伸びた。利益面では原価改善努力が原材料費の上昇でほぼ相殺されたものの、増収効果に加え、コロナ禍で定着した諸経費の抑制効果が大きく効いた。コロナ禍前の2019年4~6月期と比べると、連結販売台数は約17万台少ないが、営業利益は為替などの影響を除く実質ベースで1850億円も改善した。コロナ禍での経費削減や働き方の見直しが収益体質を一段と強固にしつつある。

 一方で、通期の業績や販売台数の予想は期初から据え置いた。第1四半期は減産影響を約10万台に抑えたが、半導体不足に加え、新型コロナウイルスの感染再拡大による自社やサプライヤーの工場稼働が見通せないためだ。世界的に新車需要は旺盛で、北米では工場出荷前や輸送中の車両を商談できるようにするなど、在庫が減る中で販売機会を逃さないよう工夫を重ねている。

 第2四半期以降の修正を含め、今期の業績は新車の供給をどれだけ増やせるかに左右されそうだ。