近執行役員
長田執行役員

 トヨタ自動車が12日に発表した2022年3月期連結業績(国際会計基準、IFRS)見通しは、売上高に相当する営業収益が前年同期比10・2%増の30兆円と、過去最高だった19年3月期(米国会計基準)に迫る水準を示した。グループの総販売台数見通しは、世界的な半導体不足のリスクも踏まえて同6・4%増の1055万台とした。営業利益予想は同13・8%増の2兆5千億円。コロナ禍前の20年3月期を超える水準となる。原価改善により損益分岐点を引き下げ、需要回復局面において大きく業績を押し上げる見通しだ。

 21年3月期の連結業績は、営業収益が同8・9%減の27兆2145億円、営業利益は同8・4%減の2兆1977億円と落ち込んだが、売上高営業利益率は8・1%と、前年度(8・0%)をわずかに上回る水準となった。当期利益は10・3%増加した。新型コロナウイルスの感染拡大による販売減を新型車効果などで最小限に抑え、グループ総販売台数は992万台と、減少幅は同5・1%減にとどめた。

 営業利益は、増減要因として販売減による影響が前年度より2100億円のマイナスとなったが、原価改善で1500億円、経費低減などで700億円のプラスを生み出し、20年4~12月期決算発表時の見通し(2兆円)より2千億円近くを積み増した。

 コロナ禍での21年3月期の決算について、近健太執行役員は「リーマンショック後から取り組んできた『もっといいクルマづくり』に加えて、原価改善活動によって損益分岐台数を落とせたこと、サプライチェーンの代替調達の効率化などの努力」が奏功した点を強調した。トヨタはリーマンショック時から約20年で損益分岐点を約200万台引き下げたが、この1年間で「さらに数十万台規模下がった」(近執行役員)ことを明らかにした。

 22年3月期の業績見通しでは、半導体不足による生産影響の懸念について近執行役員は「リスクとしては織り込んでいる」と述べ、グループ総販売台数見通しの1055万台は慎重な数字だとした。その上で営業収益は30兆円、売上高営業利益率は8・3%と高水準を見通す。近執行役員は今年度を「コロナ下で進めてきた原価改善、働き方改革をいかに定着できるかが正念場になる年」とし、さらに損益分岐点を下げて次世代技術投資に振り分ける原資を確保する考えを示した。