映像から作業者の骨格を抽出し、姿勢の変化や時間などを自動算出する

 豊田自動織機は3日、工場での作業負荷を減らすための評価システムを開発し、本格運用に入ったと発表した。映像から作業姿勢を高い精度で把握し、社内規定に合致しているかどうかを自動で判定する。高齢化をにらみ、中高年の技能者が無理なく作業できる工程を増やすのが狙いだが、今後は技能教育にも応用する考えだ。

 「作業姿勢分析システム」を自社開発し、昨年半ばから高浜工場(愛知県高浜市)で試行を開始。先月から完成版を国内全工場に導入し始めた。同社は50歳以上を「高年齢者」と定義し、腰や膝の角度などから作業姿勢を点数化して就労可能な工程を認定している。現在は約1700工程が認定済みだが、技能者の高齢化を踏まえると15年後には約2700工程まで増やす必要があるという。

 これまでは工程をビデオで撮影し、評価者がストップウオッチなどで中腰になった時間を計るなどして評価していた。この手法だと1工程の評価に1時間以上かかり、評価に個人差もあった。

 新たなシステムは映像から対象者の骨格を抽出し、腰や膝の角度や時間を分析して社内帳票やグラフを自動作成する。複数の映像を組み合わせて死角をなくしたり、評価対象者だけを追い続けるアルゴリズム(計算手順)を開発するなどして完成度を高めた。すでに633件の工程評価に用い、約50件の改善につながったという。評価作業にかかる時間も今年度は1500時間ほど減る見込みだ。

 今後は海外工場にも導入するほか、各工場の評価映像を集めてデータベース化し、好事例の横展開にも役立てる。また、工程ごとの「標準作業」と作業者の動作を比べるなど技能教育にも生かしていく。