自動車メーカーなどで組織するLIBTECが開発中の全個体電池

 自動車メーカー各社が電気自動車(EV)向け全固体電池の開発を本格化している。トヨタ自動車に続いて日産自動車はEVのコスト低減を図るため、2020年代後半に全固体電池を実用化する。ホンダも21年度から全固体電池の実証ラインでの生産技術検証に着手し、20年代後半にEVに搭載する計画だ。カーボンニュートラル実現に向けてEVの普及が本格化することが見込まれる中、自動車各社はEVの低コスト化や航続距離の伸長につながる次世代バッテリーとして全固体電池を有望視し、研究開発を本格化する。

 全固体電池は、リチウムイオン電池の電解質を固体にすることで発火リスクを低減、安全性が向上するのに加え、エネルギー密度が高いことからEVの航続距離を延ばせる。

 構成部品の簡素化によるコスト低減にもつながる。航続距離が短いことや、価格が高いなどのEVが普及するための課題の解決に結びつく電池として、自動車各社が開発を本格化している。

 トヨタ自動車は20年代前半の実用化を目指している。

 日産は、30年代前半から主要市場に投入するすべての車両を電動車にする計画を掲げる。電動車の普及には「技術進化に加え、コストも下げていかなくてはいけない」(内田誠社長兼最高経営責任者)とし、鍵となる車載電池では1㌔㍗時当たり75㌦のコスト目標を掲げる。コスト低減の目玉として全固体電池を据えており、25~30年の間に実用化する計画だ。

 40年に世界の新車販売のすべてをEVと燃料電池車(FCV)のゼロエミッション車にする計画のホンダも、全固体電池の20年代後半モデルへの搭載に向けて研究開発を進め、EVの商品力向上につなげる。

 海外勢も全固体電池の開発に乗り出している。BMWとフォード・モーターは、全固体電池を手がける米スタートアップのソリッドパワーに1億3千万㌦(約140億円)を出資する。22年初頭にパイロットラインで生産開始する計画で、BMWとフォードはEV向け全固体電池を確保する。

 また、フォルクスワーゲン(VW)が出資するスタートアップの米クアンタムスケープは、VWとの合弁工場で全固体電池セルの大規模なパイロット生産ラインを設置する計画だ。

 EV向け次世代電池をめぐってはサプライヤーも参入している。三洋化成工業はAPB(堀江英明社長、東京都千代田区)、グンゼと次世代型リチウムイオン電池である全樹脂電池向け樹脂集電体の量産体制を構築する。

 脱炭素社会に向けてEVシフトが鮮明になる中、EVの性能や価格を大きく左右する電池をめぐる開発競争が激化している。