日産は三菱自と軽EVを共同開発している(写真は「IMkコンセプト」)

 カーボンニュートラル社会の実現に向けて、軽自動車を電動化する動きが本格化してきた。軽自動車の電気自動車(EV)を共同開発している日産自動車と三菱自動車に加え、スズキやダイハツ工業も軽のEVやハイブリッド車(HV)を投入する方針を表明。ホンダも軽のEVを2024年に投入する。軽の電動化比率は20年度に初めて3割を超えたが、ほぼ全てがマイルドハイブリッド車(マイルドHV)だ。価格重視の軽を、ストロングハイブリッド車(ストロングHV)やEVに置き換えていくことができるのか、軽自動車メーカーが今後投入するモデルによって、その本気度が試される。

 全国軽自動車協会連合会によると20年度のHVやEVなどの電動車販売台数は前年度比16・6%増の45万6894台と増加しており、軽の新車販売に占める比率は33・5%となった。昨年末に法人、自治体向けに発売したトヨタ自動車「シーポッド」を除く全てがスズキ、日産、三菱自、マツダのマイルドHVとなる。コストやスペースに制約のある軽は、HVシステムやEV用大容量バッテリーを搭載した上で商品力を維持することは難しい。

 軽の電動化をめぐっては一足飛びにEV化を目指すメーカーとストロングHVから段階的にEVにシフトするメーカーに分かれる。日産と三菱自は、EVの量産実績を強みに軽EVを23年度までに投入する予定だ。三菱自は水島製作所(岡山県倉敷市)に約80億円を投じてEVの生産ラインの整備を進めている。ホンダも日本における電動化施策の目玉として軽のEV投入を据える。

 現時点でストロングHVすら存在しない軽セグメントでEVを先行投入するのは、登録車と比べて軽がバッテリーEVとして相性の良い部分もあるためだ。軽の用途で多い短距離走行であればバッテリーの容量が小さくて済む。地方を中心にサービスステーションの閉鎖が相次ぐ中、EVなら自宅で充電できる。

 一方、ダイハツやスズキはEVの研究開発と同時に、ストロングHVの商品化に向けた準備を進める。ダイハツ関係者は「バッテリーの価格がまだ高く、ユーザーが許容できる範囲に値上げ幅を収めることが難しい」とみる。ダイハツは今秋をめどに小型車のストロングHVモデルを投入し、その後、軽にも適用する方針だ。

 軽EVではこれまで三菱自が「アイ・ミーブ」を量産したほか、ダイハツがハイゼットをベースにしたEVを1970~2005年、同モデルをベースにしたHVを05年から販売したが、いずれも販売不振で生産を終了した。脱炭素社会に向けた機運の高まりに背中を押される形で各社が開発に本腰を入れる軽の電動車が「生活の足」として許容されるコストと性能を実現できるのか、軽自動車メーカーに課せられた使命は重い。

(水鳥 友哉)