「フローフォーム」の断面

締結部品の製造、販売などを手掛ける新城製作所(新城功社長、大阪府岸和田市)が、異素材を接合するスクリュー「フローフォーム」の提案を積極化している。アルミニウムとスチール、アルミとアルミといった素材同士を下穴を開けることなく接合できるのが特徴で、日系自動車メーカーへの採用拡大を目指す。欧米自動車メーカーでの採用が進む中、日系メーカーでの採用拡大を見込み、2021年春には国内生産を開始し安定供給体制を整える。

現在、自動車用素材を巡っては、車両電動化に伴う軽量化ニーズの高まりを背景に、マルチマテリアル材の利用拡大が進んでいる。同社はフローフォームによる異素材接合技術を通じて、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)対応を急ぐ自動車メーカーの軽量化ニーズに応えていく考えだ。

フローフォームの採用は、欧米自動車メーカーが先行している。アウディやBMW、ダイムラー、テスラ、フォードなどは、車両軽量化による二酸化炭素(CO2)排出量の削減効果も狙いに、ボディー部品やバッテリーパックなどに使用しているという。

同社は、フローフォームを開発した独アーノルド社と2019年にライセンス契約を締結した。これまで関連会社を通じて輸入、販売してきたが、国内自動車メーカーへの安定供給を目的に、来春から国内生産を始めることにした。生産は、同社が手掛け、販売は関連会社の美和工販(近藤忠文社長、愛知県みよし市)が行う。

新城製作所は、自社工場内にテストラボを持つ。顧客の要望に合わせ、接合テストや分析を行う体制も整えている。

フローフォームは「下穴が不要」「片側から施工できる」「接着剤が併用可能」「取り外し可能」「異素材接合が可能」の5つの特徴を持つ。打込専用機を使用することで完全自動の施工を実現し、工程の削減、コスト低減にも寄与する。