三井不動産リアルティ(遠藤靖社長、東京都千代田区)は26日、運営する「カレコ・カーシェアリングクラブ」にトヨタ自動車の燃料電池自動車(FCV)「ミライ」を導入したと発表した。東京都渋谷区のシェアリングステーションに配置し、国内メーカーの上級車と同等の利用料に設定した。気軽にFCVを利用できる環境を提供することで、カーシェア事業の付加価値を高める。

 JR渋谷駅西口から歩いて3分の距離にあるステーションで運用を開始した。料金はトヨタ「アルファード」などと同じ「プレミアム」を適用。消費税込みの基本料金は10分270円に設定した。2021年3月31日までは3割引きの期間限定料金を用意し、6時間パックは5320円、12時間パックは6300円で利用できるようにした。水素の充填はエネオスが運営する水素ステーションで行える。

 同社はこれまで、インポーターとの協業によって輸入車のラインアップを拡充するなどし、他のカーシェアと差別化を図る戦略を展開してきた。ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などの導入も積極的に推進しており、9月にはジャガー初のEV「I-PACE(アイペイス)」を都内に配置した。

 ミライも「会員にガソリン車、HV、EVと違う乗り味を体験できる機会を提供する」(広報担当)目的で導入した。今後の増車計画については「使用状況や会員の声を聞いてい検討する」とし、現時点では未定だという。

 カーシェア車両にFCVを活用するケースは珍しい。19年11月にオリックス自動車(上谷内祐二社長、東京都港区)が東京都の「レンタカー・カーシェアリングにおけるZEV(ゼロエミッションビークル)導入促進事業」の一環として初めて導入。現在、36台が稼働している。