国土交通省は11日、タクシー事業者による有償での飲食料品配送を10月以降も行える制度を導入したと発表した。これまで、「道路運送法」に基づく特例措置として許可していたが、9月末に期限が迫っていた。新たに、運送できる品目を食料と飲料に限定して「貨物自動車運送事業法」によって認めていく。赤羽一嘉国土交通相は「サービスの利用者とタクシー事業者から好評との声が上がっており、10月以降も恒常的に配送が行えるよう措置した」と説明。新制度の導入で、タクシー事業者の新たなビジネスチャンスの創出にもつなげていく考えだ。

 新制度の申請は9月11日から受付を開始した。タクシーによる配送は品目を限定するほか、資金計画や運行管理などでも柔軟な対応を行うことで多くの事業者が参入しやすくする狙い。新制度で許可を受けた事業者は3カ月ごとにモニタリングを実施し、運用状況などを検証することで、安全や品質も担保していく計画。

 新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けたタクシー事業者を支えるため導入された特例措置は現在、全国で約1700社、約5万4千台の車両が許可を受けてサービスを提供している。赤羽国交相はこれまでに、「大きなトラブルや安全性の問題も生じなかった」と評価。信頼性が高いサービスとして期待できることも、事実上の恒久化につながったものとみられる。