ラリージャパン2020実行委員会は、海外からの関係者受け入れが困難であるとして、今年11月に愛知県・岐阜県で開催を予定していたラリーの中止を発表した。ラリージャパンは世界ラリー選手権(WRC)の1つで、実現していれば日本では10年ぶりとなるWRCラリー開催だった。同委員会は21日にオンラインで記者会見を開き、中止に至った経緯について語るとともに、2021年の開催に向けた意気込みを示した。

 会見で同委員会の高橋浩司会長は、中止に至った最大の理由について「コロナ禍で出入国が制限される中、300人を超える外国人選手・スタッフらが入国することは現実的ではない」と説明した。関係省庁などと折衝を重ねてきたが、11月の開催に間に合う対応は難しいと判断。関係者やWRCカレンダーへの影響を鑑み、3カ月前の中止決定に踏み切った。

 コロナ禍で各種イベントが中止や延期となる中、18年の招致委員会発足時から支援してきた開催予定地からも複雑な声が聞かれたという。「『せめてラリージャパンだけでも』と熱望する意見も多くあったが、中止を伝えると『感染拡大を懸念する地元住民への配慮に感謝している』との反応をもらった。決断は間違っていなかったと考えている」と語った。

 21年の開催に向けてWRCを主催する国際自動車連盟(FIA)とはすでに合意しており、今後は当初予定のコースを元に準備を進める。「図らずも1年の猶予が生まれた。やりたくてもできなかったことなどに改めて取り組む機会にしたい。すでに気持ちは切り替わっている」と意欲を見せるとともに、「1年後も新型コロナの影響が完全になくなるとは考えていない。観客の安全を第一に、ニューノーマルの中で大規模イベントを成功させなければならない」と覚悟を述べた。