商用車のボディー架装などを手掛ける久松自動車販売(久松孝治社長、大阪市阿倍野区)は、普通免許証でも運転可能な小型のバン型ディーゼルトラックを開発し、販売を開始した。1㌧程度の積載量を確保しながら、車両の全幅を約1・8㍍に抑えるなど取り回しやすいサイズとした。年間販売台数目標は60台。女性や若手のドライバーでも運転しやすい車両として物流業界にアピールし、深刻化する人手不足の解消を後押ししたい考えだ。

 開発車両は、大阪トヨペット(横山昭一郎社長、大阪市東成区)と架装メーカーのパブコ(ヒルマン・フォルカーCEO、神奈川県海老名市)と協力して制作した。ベース車両は、ディーゼルモデルをラインアップするトヨタ自動車「ダイナ」で、AT車両も選択可能。低床車を用いることで、女性や小柄なドライバーが荷物を積み込みやすいよう配慮した。バンボディーをキャブ部と同等の横幅に抑えて、車幅感覚を掴みやすい仕様とした。

 3枚観音ドアや側面のスライドドアなど各種オプションにも対応できるほか、総重量と最大安定傾斜角度を検討しながらボディーの高さも2㍍前後で調整できる。パブコの指定代理店でグループ傘下の栄進ボディ工業が設計し、顧客ニーズに細かく対応できる少量多品種生産を実現した。

 第1号車は、奈良県奈良市の物流事業者、かんさいウイングに納車した=写真。同社の山田幸治社長は「乗り心地も良く女性なども気軽に運転できる」と導入を決めた。今後は、AT限定の普通運転免許の取得者が多い若年層や女性などの採用増加にもつながると期待を寄せた。

 宅配などでは、女性や若年層ドライバーの活躍に期待がかかるが、積載量の限られる軽バンなどは輸送効率が制限される。現行の普通免許で運転可能な総重量3・5㌧以下で、かつ運転しやすいバン型トラックのニーズが物流事業者の間でも高まっている。