日本の自動車メーカーは、国内の生産基盤に加えて需要地での現地生産を広げてきたことで事業を拡大してきた。一方、世界各国に生産拠点を構えるため、悪化する米中関係や英国の欧州連合(EU)離脱などの地政学的なリスクも抱える。直近では新型コロナウイルスの感染拡大が生産活動に甚大な影響を及ぼしている。2019年度の各社の生産状況を振り返るとともに、20年度の展望を探った。

 トヨタ自動車の19年度世界生産台数は、前年度比2・2%減の874万台698台となり、世界的な新車需要の低迷で2年ぶりの前年実績割れとなった。ダイハツ工業と日野自動車を合わせたグループ生産台数も、同2・2%減の1039万8182台と、過去最高だった18年度から減少に転じた。一方、グループの世界販売は同1・4%減の1045万6593台と減少幅をとどめたことで、フォルクスワーゲングループをかわしてトップとなった。

 トヨタ単体の生産状況を国別にみると、主力の日本は同2・8%増の330万3688台となり、新型「RAV4」や北米向けの「カローラ」など新型車の販売が好調だったためプラスとなった。ただ、2月頃から新型コロナ感染拡大の需要減が生産に影響に及ぼし始めるようになり、4月からは国内全15工場で減産を開始。その後、需要回復に合わせて生産活動も徐々に元へ戻し、8月の国内生産はコロナ感染拡大前の年初計画通りにほぼ回復する見通しを示している。8月までの累計減産台数は約28万2千台となり、年間生産台数の約1割弱に達することになる。トヨタは9月以降も回復傾向が続くとみている。

 アジアの19年度生産実績もわずかながら前年実績を下回った。中国は新型コロナで2月稼働を停止した影響もあったが、18年度年央に天津一汽トヨタの新ラインで「IZOA」の生産を始めたことで台数を伸ばし、同2・9%減にマイナス幅をとどめた。インドネシアやフィリピンなどがプラスとなったが、タイやインドは景気低迷による市場縮小で2桁減となった。

 現在、中国市場はV字回復を果たしおり、生産台数も4月は前年同月比27・8%増、5月は同13・5%増、6月は同21・6%増と好調に推移している。アジアのその他地域も生産活動は再開しているが、一方で感染の拡大局面にあるインドなどは本格的な経済回復が見込めず、生産への影響は今後も続きそうだ。

 北米の19年度生産は、2月まではRAV4などの販売が好調だったが、3月からコロナ影響が及びマイナスとなった。4月は北米の全工場で稼働ゼロという異常事態となったが、6月は前年同月比で9割以上の水準まで回復している。

 北米では生産増強に乗り出している。トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インディアナ(TMMI)を1月に刷新し、新型「ハイランダー」の生産開始に向けて年間4万台分を増強した。さらに22年までにTMMIとトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・テキサス(TMMTX)で生産車種を変更し、競争力向上を図る。

 欧州の19年度生産は、新型「カローラ」の立ち上げに伴う増加で英国が2桁増となったものの、新型コロナによる工場稼働停止で相殺され、ほぼ前年実績並みとなった。欧州でも6月の販売は回復傾向にあり、生産は国ごとにばらつきはあるが、全体としては前年実績の96%まで戻っている。