フォード・モーターは米国の主要自動車メーカーの1つで、1903年にヘンリー・フォードによって設立されました。自動車黎明期に、ベルトコンベアを使用した組み立てラインを導入し、効率的な大量生産手法を確立。その方法で製造された「モデルT」は、生産台数の向上や手ごろな販売価格で、自動車の普及に寄与しました。

 同社を代表するモデルとしては、ピックアップトラック「Fシリーズ」やスポーツカー「マスタング」などがあります。Fシリーズは北米市場において、長年にわたり販売台数トップを獲得する人気モデルです。そのほか、高級車をラインアップする「リンカーン」ブランドも設定します。

 2025年までにフォードとリンカーンで50以上の新型モデルを投入する計画を立てています。本国ではマスタングにも電気自動車(EV)を設定。リンカーンは、EVトラックを開発するスタートアップと共同で車両開発に取り組むことを発表し、環境負荷の低いモデルの拡充を目指しています。

 フォードが発表した19年のグローバルシェアは6%で、18年比で0・3㌽下落しました。各地域の内訳をみると、北米が13・2%、南米が7・2%、欧州が6・8%、中東が3・2%、中国が2・2%、アジアで1・7%となっています。

 日本においては、1979年にマツダの株式を取得。販売チャネルとして「オートラマ店」を立ち上げ、本格的な販売を開始しました。その後、90年代後半に国内法人の「フォード・ジャパン」へ輸入と販売の機能が移りました。マツダとの資本提携は、リーマンショックを機に段階的に株式を手放し、2015年にすべての持ち株を売却。関係は解消されました。フォードはその翌年、販売の低迷などを理由に日本市場からの撤退を発表。現在は事業会社がアフターサービスを請け負っています。