自動運転パーソナルモビリティの利用イメージ

 電動車いすをはじめパーソナルモビリティの開発・普及に取り組むベンチャー企業のWHILL(ウィル、杉江理代表取締役兼CEO、横浜市鶴見区)は、自動運転機能を搭載した電動モビリティが羽田空港第1ターミナルで一般客の移動ツールに採用されたと発表した。空港で人搬送用途の自動運転パーソナルモビリティの実用化は、世界初。空港内の一時的な車いすによる移動では、新型コロナウイルス感染症対策のため利用者と介助スタッフのソーシャルディスタンスの確保が課題となっていた。介助者なしで安全な移動を可能にした自動運転モビリティの技術が評価を受け、採用につなげた。

 自動運転モビリティは、8日に羽田第1ターミナルのゲートエリア内に導入された。空港内の歩行移動に身体面の不安を感じる一般客の〝足〟として利用してもらう。利用は無料。モビリティは保安検査所近くで待機しており、そこから利用者を目的の搭乗ゲートまで送った後、無人の自動運転で待機場所まで戻る。

 自動運転システムは、自動走行・停止機能などを搭載したパーソナルモビリティ本体と、複数のモビリティを管理・運用するシステムで構成。あらかじめ収集した地図情報と、センサー群で検知した周囲の状況を照らし合わせ、運行の安全を確保する。

 同社は2019年に利便性の高い移動手段の提供をねらい空港で自動運転パーソナルモビリティの実証実験を開始。羽田空港をはじめダラス・フォートワース国際空港(米国)、アブダビ国際空港(アラブ首長国連合)、ウィニペグ国際空港(カナダ)など海外を含み延べ11回・400人近くに試してもらい、ノウハウを構築した。

 今後は、世界各地の空港への早期導入に取り組み航空業界の〝ニューノーマル〟(新常態)となることを目指しながら、パーソナルモビリティの普及に取り組む。