マツダは5日、医療支援の一環として新型コロナウイルス感染症の軽症患者らを搬送する車両を提供したと発表した。大型SUV「CX―8」をベースに、前席と後席との間に大型の窓を備えた隔壁を装備することで感染リスクを低減する。同日から順次、計9台を広島県に納車し、県内の医療機関で活用していく。

 搬送車両は、行政や医療機関からの要望を踏まえマツダが開発、マツダE&Tが架装を担当した。前後の席の間に隔壁を設け、後席に追加装備した排気システム(リアベンチレーション)によって圧力差を作ることで、後席から前席への空気流入を抑制する。全席のフロアマットをゴム素材とし、座席にはビニールカバーを装備することで手入れがしやすいようにした。隔壁越しでも会話できる通話システムや前後席の圧力差を確認できる差圧計をオプション設定する。

 日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)をはじめ自動車関連4団体は、コロナ危機の克服と復興に向け一丸となって医療支援の取り組みを進めている。自工会が5月末に発表した取り組み状況のまとめによると、感染者搬送用車両の提供は5月15日時点で6社270台超にのぼるという。