スズキは、完成検査問題の再発防止策の実施状況を国土交通省に報告し、全120項目の対策がすべて完了したと発表した。そのうちの75項目については取り組みを継続し、再発防止を図る。

 同社は19年4月に検査員資格を持たない社員が完成検査を実施するなどの不正が判明したことを国交省に提出。不正防止策を5つの大項目と48の小項目に分類し、進ちょく状況を同年10月、20年1月に報告してきた。

 今回、前回までに完了していなかった19項目について対策が完了した。

 今回更新した新たな取り組みとして、完成検査では生産能力を5%上回る検査能力を確保するため検査員を増強し、4月時点で四輪車と二輪車を合わせて344人の検査員を確保した。排出ガス・燃費抜取検査では、試験を行った検査員を自動で記録するために、静脈認証実施後に試験を実施できるシステムを3月に導入した。

 また、社内の意識改革を進めるためにコンプライアンスハンドブックを策定して2月に全役員と従業員に配布。3月には不正問題を風化させないために役員・従業員が学習する常設展示エリアを本社内に設置した。道路運送車両法に関するeラーニングは4月1日に対象者全員の受講を完了した。不正再発防止に向けた今回の取り組みについては次期中期経営計画にも反映する方針だ。

 不正防止策を進める過程において、同社はこれまで生産スピードを通常より落としていた。対策が完了したことで4月以降に通常稼働へ戻す予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大によって部品調達が滞り、生産調整は続いている。