運賃適正化は長年の課題(写真はイメージ)

 国土交通省は24日、トラック運送業に関わる標準的な運賃を告示したと発表した。国がトラック事業の適正な原価と利益を反映した運賃の指標を示すことで、トラックドライバーの労働条件の改善につなげる。赤羽一嘉国交相は閣議後の会見で、「トラック運送業は長年、コストに見合う運賃を収受できなかった」と指摘。国内の物流を支えるトラック事業者の状況を「このまま放置すれば国民生活や我が国の経済に深刻な影響が想定される」とし、国交省としても標準的な運賃をもとにした取引環境の適正化を後押ししていく方針だ。

 標準的な運賃の算定では、全産業平均に満たないトラックドライバーの賃金を標準的水準まで是正することに加え、コンプライアンス確保も前提とした。実運送事業にかかる費用だけでなく、リース料など車両にかかる減価償却費や一般管理費、借入金の利息なども考慮して適正な原価を設定。これに経常利益を一定水準確保できる適正な利潤を加えた。

 運賃表は距離制と時間制の双方を策定した。小型トラックなど車格別に運賃を設けているほか、地方運輸局のブロック単位で算出している。地域ごとに異なる特性を反映させることで、実効性を引き上げる狙い。また、休日や深夜・早朝の割増料金のほか、荷物の積み下ろし前の待機時間料も示した。

 新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛により、足元で小口配送などのニーズが拡大傾向にある。トラックによる物流の重要性がより高まる中で、標準的な運賃の創設を追い風にトラック事業の地位向上にも役立てていく狙いだ。