新技術を開発した開発・製造メンバー

 トヨタ自動車は3日、世界初のアルミ鋳造技術が第66回「大河内記念生産賞」を受賞したと発表した。投資や環境負荷を減らしつつ、より複雑な鋳造ができる。今後、グループ企業以外にも技術供与を検討していく。

 鋳造設備などを手がける新東工業(名古屋市中村区)と共同受賞した。シリンダーヘッドを鋳造する際、冷却水路を作るため中子(なかご)と呼ばれる砂を接着剤で固めた砂型を用いる。一般には有機物質であるフェノール樹脂を接着剤に使うため、鋳造時に出る臭気ガスを処理する脱臭設備が必要で、砂の洗浄にも多くのエネルギーが必要だった。

 トヨタと新東工業は2010年に新技術の開発に着手。接着剤に無機物質の水ガラス(ケイ酸ナトリウムの水溶液)を使うことで臭気濃度を100分の1以下にし、脱臭設備をなくすことに成功した。また、砂の流動性を改善することで、細く複雑な冷却水路を鋳造できるようにもした。より低温で砂を洗浄できるため、二酸化炭素(CO2)の排出も従来工法の半分以下になったという。

 14年から国内外のアルミ鋳造設備や豊田自動織機などグループ会社への導入を始めており、熱効率で41%を達成した新型エンジンの量産にも寄与している。トヨタが大河内記念生産賞(関連も含む)を受賞するのは3年ぶり12回目となる。