日産「リーフ」と急速充電器
横浜市は充電網の拡充を切り口にEVの普及を目指す(写真は林文子市長)

 東京電力ホールディングスと中部電力が設立した「e―モビリティーパワー」が、電気自動車(EV)の普及に向けた充電ネットワークの構築に動き始めた。2019年3月末時点のEVの国内保有台数は10万7千台。これに対して国内の充電インフラは3万基を超えており、全体的な不足感は解消されつつある。一方、充電渋滞が多発するスポットや空白地帯も一部には存在し、利便性には課題が残る。e―モビリティーパワーは、自治体などとの連携を通じて充電ネットワークを最適化し、EVの普及促進を目指す。(水鳥 友哉)

 同社は17日、横浜市とEVの普及促進に向けた連携協定を締結した。現在は市内に800基ある充電器を2030年までに3千基に増やし、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)の普及につなげる。150基の急速充電器を500基に、650基の普通充電器を2500基に拡充する構想だ。地域の企業や団体と連携し、特に充電需要が大きいとみられる港北区と青葉区を中心に充電網の充実化を図る。

 e―モビリティーパワーが〝狙い目〟の一つに挙げるのが集合住宅だ。自動車ディーラーや商業施設などでのインフラ設置は進んでいるものの、マンションの駐車場に充電器を設置するためには、管理組合の総会で「共用部」の変更が認められる必要がある。EVの充電は移動途中の「経路充電」、行き先での「目的地充電」、自宅での「基礎充電」に分けられるが、基礎充電ができる環境が無ければEVの購入には結び付きにくい。今回の提携で横浜市は、集合住宅など、従来は設置しにくかった環境での設置を支援するために新基準の策定や規制緩和に踏み込む考え。充電インフラを拡充し、EVの普及を促進する。二酸化炭素(CO2)排出量削減や災害対策を実現する。

 利便性の高い充電網を構築するためのe―モビリティーパワーに課せられた使命は、充電器の数を増やすことだけではない。一つはバッテリー容量の大きいEVでも充電時間が長くならないような出力の高い充電器の普及とそれに対応できるエネルギーマネジメントの仕組みづくり。もう一つは決済システムの最適化だ。

 e―モビリティーパワーは、自動車メーカー4社が期限付きで設立し、充電サービスを手がける「日本充電サービス」(NCS)の事業を引き継ぐことを前提に東電HDと中部電が昨年10月に立ち上げた組織。NCSは全国でEVを利用できる環境整備に貢献してきた一方、決済システムは非会員の場合に手間がかかる。また、会員の場合もカード認証が必要で、自動で車体を認証するテスラと比べると時間がかかるという指摘もある。

 20年以降、ホンダ「ホンダe」やマツダ「MX―30」、トヨタ「RAV4」のPHVなどラインアップの拡充が一気に進む。電動車の普及促進のためにも、今後はエネルギーマネジメントや決済システム、料金体系を含めた充電網の整備が本格的に求められてきそうだ。