5Gを活用した濃霧の中での運転補助に関する実証実験

 NTTドコモは、第5世代移動通信システム(5G)を活用して地方創生につなげるために全国で実施した実証実験の成果を発表した。濃霧の中の運転で5Gを運転支援システムに活用する技術や、5Gを使って音を視覚化して聴覚障がい者の移動を支援する技術などを検証し、多くのケースで有用性を確認したとしている。同社では実証実験の成果や技術、ノウハウをもとに、パートナーと連携して幅広いアプリケーション・サービスを組み合わせた新たな5G活用サービス創出に取り組む方針。

 実証実験は2019年10月から20年3月の期間、総務省が実施した「5G利活用アイデアコンテスト」で上位入賞したアイデアをもとに37の自治体、企業、大学などの協力を得て行った。5Gを活用して地域課題の解決に貢献する12の実証試験と超高速移動環境での電波伝搬特性の測定を全国各地で実施した。

 モビリティ分野では、オートバックスセブン、大分交通が協力し、大分市で「5Gを活用した濃霧の中での運転補助に関する実証実験」を実施した。赤外線を使って熱を可視化できるサーマルカメラと画像認識を活用し、高速・大容量・低遅延が特徴の5Gを使って、視界不明瞭な濃霧の中でドライバーが車線や前方の車両を認識するのを支援するシステムについて実現性の検証を日本で初めて実施した。実験では、走行車両が人工知能(AI)で解析した検知結果によって目視では確認困難な障害物などの情報を補助情報としてドライバーに通知し、安全な走行につながることを確認したという。

 また、サン電子が協力して岐阜県中津川市で「5Gを活用した音の視覚化による生活サポートに関する実証実験」を実施した。5Gを使って危険を知らせる周囲の音の情報をサーバーに瞬時に送信、検知した音からスマートグラスで視覚化した情報を表示する。実験では1秒以内に再生処理開始できることを確認し、聴覚障がい者の生活支援サービスとしての可能性を検証した。

 行政サービスでは福井県永平町で、4K360度カメラによる除雪車やパトロールカーの位置情報や除雪状況の映像を5Gを使ってリアルタイムに伝送し、対策本部や住民に対して迅速な情報を提供できることを確認したとしている。パナソニック、ジビル調査設計が協力した。