新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、東芝エネルギーシステムズ、東北電力、岩谷産業は9日、福島県浪江町に再生可能エネルギーを利用した世界最大級の水素製造装置を備えた水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド」=写真=が完成し、稼働したと発表した。製造した水素は、燃料電池車や燃料電池バスなど向けに供給する。

 福島水素エネルギー研究フィールドは、20㍋㍗太陽光発電の電力を使って、世界最大級となる10㍋㍗水素製造装置で水を電気分解し、定格運転時で毎時1200ノルマル立方㍍の水素を製造する能力を持つ。

 水素の製造・貯蔵は、水素需要予測システムと電力系統制御システムを使って、電力系統の需給バランスを崩さないように調整する。水素の製造・貯蔵と電力系統の需給バランス調整の最適な組み合わせを、蓄電池を使わず水素エネルギー運用システムだけで実現することを目指す。

 このため、研究フィールドでは運転周期の異なる装置を使って、電力系統の需給バランス調整機能と水素需給対応を組み合わせて運転制御を最適化する技術について検証していく。

 水素を燃料とする燃料電池車は、走行時に排出されるのは水だけで、二酸化炭素排出量をゼロにできる。燃料となる水素を、系統電力への影響を抑えて出力変動が大きい再生可能エネルギーで安定的に製造できれば、二酸化炭素フリーのモビリティを実現できる。施設で製造した水素は、主に圧縮水素トレーラーなどを使って輸送し、福島県や東京都などの需要先へ供給する予定。