新型コロナウイルスの感染拡大に伴って日系自動車各社も対応に乗り出している。ホンダは2月28日から3月13日まで、東京都内で働く従業員は原則、在宅勤務とした。ダイハツ工業は4月1日に予定していたテレワークについて2月28日に前倒し、可能な限り在宅勤務にするよう推奨する。マツダはテレワーク制度の利用日数・時間の枠を一時的に撤廃した。

政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、在宅勤務や、ラッシュ時を避けて通勤する時差出勤を呼び掛けている。さらに3月2日から小中学校、高校、特別支援学校の休校を要請するとともに、子どもを持つ従業員が休みをとりやすくするよう企業に配慮を求めている。自動車メーカー各社は、国内外の出張、大規模な会議の自粛や時差出勤を推奨するなどの対策を実施してきたが、自宅で業務が行える社員を中心に、在宅勤務の促進にも乗り出している。

ホンダは2月28日から3月13日まで、管理業務や開発業務など仕事の特性上、在宅勤務が可能でフレックス制を適用している東京地区の事業所で働く社員約2000人を対象に、原則、在宅勤務とした。加えて和光、朝霞地区オフィス、研究所で働く全ての従業員約2万6000人についても在宅勤務の利用を推奨する。

ダイハツは昨年、テレワークのトライアルを実施するなどして、2020年4月1日からテレワークの本格導入を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて約1カ月前倒して、2月28日からテレワークを導入、可能な限り在宅勤務を推奨する。対象は生産部門を除くスタッフ職約6400人で、同社の国内の従業員のほぼ半数を占める。4月から実施予定だったテレワークでは、利用日数や時間に制限があるが、今回は特に制限を設けずに実施するという。

マツダは東京本社や横浜R&Dセンターなど、首都圏で働く社員を対象に、可能な限り在宅勤務とするよう求めている。テレワーク制度では在宅勤務は月の出勤日の4分の1以下に抑えることとしているが、一時的に枠を撤廃し、当面は上司の許可があれば制限なしで在宅勤務が可能となっている。広島本社の間接員については検討中としている。さらに、政府が学校の一斉休校を要請したことから、親族の看護・介護が理由なら賃金70%で年10日間取得できる「ハートフル休暇制度」について小学6年生以下の子どもがいる家庭の社員も対象とするように制度を改正した。

トヨタ自動車は在宅勤務を推奨してきたが、部署ごとに在宅勤務にできないか検討するなど、在宅勤務化のトーンを強めている。日産自動車、三菱自動車はもともと制度化しているテレワークの活用を強く推奨するとともに、在宅勤務の日数の制限を撤廃した。

テレワーク制度のないスバルは在宅勤務の実施を検討しているが、当面はフレックス勤務を使った時差出勤で、満員電車を避けて感染リスクの低減を促している。テレワーク、フレックスともに制度化していないスズキは、東京支店でフレックスを使った時差出勤を検討している。

一方、新型コロナウイルスの感染源である中国の部品不足で、国内の自動車生産にも一部影響が及び始めた。ホンダとスズキ、マツダは、部品不足によって一部機種の生産を後ろにずらしている。ホンダは顧客への納車が遅れる可能性があるという。スズキは納車予定から大きな遅れにはならないという。マツダは生産を遅らせているモデルは輸出車で、納期には影響しない見通しという。