ホンダが四輪車事業の改革に抜本的に乗り出す。ホンダは2月18日、事業運営体制の変更を発表、開発子会社の本田技術研究所にあった市販車の開発部門をホンダ本体に取り込み、研究所はCASE(コネクテッド・自動運転。シェアリング・電動化)と呼ばれる先端分野の研究に専念する。ホンダ本体に市販モデルの開発を移管することで、企画から量産まで一気通貫で担当することで競争力の高い商品開発につなげる。ホンダは大手自動車メーカーで唯一、研究所が市販車を開発する技術主導型の自動車メーカーを標ぼうしてきたが、自動車を取り巻く環境が大きく変化する中、時代に沿った四輪車の開発体制に再編する。

ホンダは従来、研究所が市販車の企画から開発までを手がけ、設計図を基にホンダが購買・生産などを担当してきた。新しい体制では、研究所のデザインなどの一部を除く市販車の開発機能とホンダエンジニアリングの生産技術の研究開発機能を、ホンダ本体に移管する。これによってホンダは本体で四輪車の設計・開発から量産までを市販車のすべてを担当する。

四輪車はこれまで、研究所が中心となって開発してきたことから、開発後も生産部門や購買部門とやり取りが続くなどの手間がかかっていた。ホンダ本体に市販車の開発関連の業務を集約することで、すり合わせしやすい環境が構築でき、開発を効率化できる見通し。同様の取り組みは二輪車や、軽自動車Nシリーズの初代モデルの開発などで成果が上がっているという。ホンダは四輪車事業の利益率が低いことが大きな経営課題となっており、開発体制を変更して開発の効率化も図り、利益率の改善を図る狙いもある。

市販車の開発業務を移管した後の研究所は、CASEなどの先端分野の研究に専念する。ホンダの創業者の本田宗一郎氏が1960年に研究所を設立した時は、ホンダが四輪車事業に参入する時期に当たり「未知の世界を研究する」ためだった。その後、四輪車の開発も手がけてきたが、日本初のエアバッグ搭載モデルを開発するなど、研究所が市販車を開発するメリットがあった。しかし、CASE関連技術など、自動車の電子化が加速しているのに伴って、市販車の開発と先端分野の研究を同時に手がけるのに無理が生じてきた。しかも、電子関連技術は開発スピードが段違いに早い。これに対応していくためには、先端分野の研究に特化する必要があると判断した。