日産自動車は2月18日、2019年12月1日付けで社長兼最高経営責任者(CEO)に就任した内田誠氏など、4人を取締役に選任するための臨時株主総会を横浜市のパシフィコ横浜で開いた。出席した株主数は666人にとどまり、広い会場は空席が目立ち、用意された第2会場に株主の姿はほぼゼロ。カルロス・ゴーン元会長の取締役を解任するため、昨年4月に開催した臨時株主総会は4119人だった。出席株主が大幅に減ったのは新型コロナウイルスの感染が日本でも拡大していることなどが影響したと見られる。

株主総会の議長を務めた内田社長は冒頭、北米と欧州などの販売不振で2019年4-12月期連結業績が減収減益となり、業績見通しも下方修正したことを説明した上で、期末配当を無配とすることについて株主に対して理解を求めた。株主からは責任を明確化するため、役員報酬を返上するべきと問われた内田社長は「(無配となったことを)重く受け止めている。(新しい中期経営計画を公表する)5月までに経費削減案を含めて検討して説明していきたい」と、役員報酬のカットを検討していく姿勢を示した。

取締役候補だった関潤氏が1月に辞任したことなどによる経営再建の遅れを懸念する声に対しては「今後、日産の業績は私と経営層の責任。できなかったら私のクビを切ってもらっていい。その覚悟をもって、必ず日産(の株主)でよかったと思ってもらえるようまい進していく」(内田社長)と、背水の陣で挑む決意を示した。

また、米国での台当たり単価引き上げや、インセンティブ(販売奨励金)削減などで「質の向上は進んでいる。車齢が高いことが販売台数に影響しているが、方向性は間違っていない。経費削減をタブーなしでいち早く進め(株主に)安心感を示していきたい」と、当初より遅れているものの、業績は回復に向かうと説明した。

株主からは臨時株主総会で取締役を退任する前CEOの西川廣人氏の責任を改めて問う声も強く、退職金を支払うのかをただす株主も相次いだ。報酬委員会の委員長である井原慶子社外取締役は、日産には役員退任時の報酬ポリシーがなかったとした上で「委員会で論議して退任理由と、査定方法を定義して、今の業績を勘案して決定する」と説明するとともに、顧問・相談役制度を廃止したことから役員退任後、日産に籍はなくなるとした。

内田社長のほか、坂本秀行執行役副社長、アシュワニ・グプタCOO、ルノーの社外取締役のピエール・フルーリォ氏の4人を取締役に選任する議案は可決された。同日付けで西川氏、山内康裕氏の2人が取締役を辞任。

臨時株主総会の開催時間は2時間40分で、質問者は23人だった。