日産自動車九州

日産自動車は、新型コロナウイルスの感染が拡大している中国からの部品調達に支障が生じる見通しとなったことから完成車生産拠点の日産自動車九州(福岡県苅田町)を2月14日と17日に生産ラインを停止することを明らかにした。日系自動車各社は中国にある拠点の生産再開が遅れているものの、新型コロナウイルスの影響で日本国内の工場が停止するのは初めて。九州工場は立地的に近い韓国や中国からの部品調達を拡大してきたことが影響した模様だ。

自動車部品メーカーは、2月10日から湖北省の工場を除く中国にある工場で順次、生産再開に向けて準備に入っているものの、サプライチェーン(部品供給網)は混乱している。日産の九州工場も中国の物流の問題から部品調達に支障が生じる見通しとなったため、製造ラインを2日間停止して生産調整する。

九州工場は輸出用のSUV「ローグ/ローグスポーツ」、国内向けミニバン「セレナ」、SUV「エクストレイル」を生産している。日産は価格・品質・供給体制のトータルで優れるサプライヤーから調達する方針を掲げており、九州工場は、立地的に物流コストを抑えることが可能で、コスト競争力の高い韓国や中国から積極的に部品を調達してきた。

新型コロナウイルスによる中国からの部品調達の問題では、韓国の現代自動車が韓国国内の全生産拠点を2月7日から11日まで生産を停止したほか、ルノーの韓国子会社のルノーサムスン自動車が釜山工場の操業を停止している。

日系自動車メーカーでは、いすゞが自動車がディーゼルエンジンのターボチャージャーの部品が新型コロナウイルスの感染源である武漢市のサプライヤーから調達していたが、中国国内での代替生産を手配、現在のところ日本国内の生産に影響は及んでいない。

日系を含めて中国国内にある自動車部品の工場は、湖北省を除いて2月10日に事業を再開した。ただ、従業員の出勤状況の確認や、部品や素材を安定的に調達できるかや、物流体制の確認に時間がかかっている。日系自動車メーカーやサプライヤーは多くの中国製部品を調達している。それだけに不安定なサプライチェーンが長期化すると日本国内の自動車生産にも影響が及ぶリスクが高まる。