広汽ホンダ(参考画像)

新型コロナウイルスの感染拡大で、春節後も中国事業の休業を延長してきた日系自動車メーカー・部品メーカーが湖北省にある工場を除いて2月10日から事業を再開する。ただ、自動車各社はまず、すべての部品・材料の調達に支障がないかのサプライチェーンのチェックしてから工場を稼働していく方針で、中国での自動車生産の正常化には時間を要する見通し。日本で生産しているモデルに採用している中国製部品の調達の確認も急ピッチで進める。

日系自動車各社、部品メーカー各社は中国の地方政府の要請に応じて中国国内にある生産拠点を、2月9日まで稼働を停止していた。トヨタ自動車は中国の天津や広州にある現地企業との合弁工場について再開は2月17日以降にすることを決定したが、他の日系自動車各社は新型コロナウイルスの発生源となった湖北省を除いて2月10日から順次、事業を再開する見込み。

ホンダは湖北省武漢市の合弁工場の再開は2月17日以降となるが、広州市の合弁工場は2月10日に再開する。日産も湖北省にある工場は2月14日以降に再開する予定だが、広東省などの工場は2月10日に稼働する予定。ただ、両社ともに従業員の出勤状況によっては稼働が遅れる見通し。マツダ、三菱自動車も2月10日に中国事業を再開する。

各社はまずサプライチェーンの確認から着手する。中国の生産拠点は現地調達率が高く、多くの中国製部品、素材を採用しており、これら部品の調達状況を確認するが時間を要するため、稼働には時間を要する可能性がある。ホンダは部品によって異なるものの、部品の在庫は平均3日分にとどまる。「部品の在庫を確認してから生産に入るが、フル生産は難しい」(倉石誠司副社長)としている。自動車メーカーがティア1(一次部品メーカー)、ティア1はティア2(二次部品メーカー、ティア2はティア3(三次部品メーカー)にと、下請け工場の部品供給体制から順次、工場の稼働状況や在庫を確認していくため、時間を要する。

特に武漢市の工場の稼働は地方政府の自粛要請によって2月14日以降となるため、武漢市内にある工場で生産している部品の調達がネックとなりそうだ。

日系自動車各社は中国以外で生産しているモデルに採用している中国製部品の調達状況についての確認も急いでいる。いすゞ自動車はすでに、調達に支障が出る見通しとなった中国製ターボチャージャー部品の代替調達を手配した。

部品や素材の調達に支障がある場合、自動車各社の生産停止が長引く可能性もある。中国の経済活動は停滞しており、新車市場の低迷も避けられない。とくにホンダや日産は中国事業が経営の柱となっており、生産再開や市場回復が遅れると業績にも大きな影響が及ぶ。