中古車小売りは新たな売り方を模索する1年となりそうだ。展示場に在庫を並べる従来の販売手法が大きなボリュームを占めることに変わりはないが、ネット通販やリース販売、サブスクリプションなど多様な販売形態が続々と誕生する。トヨタ自動車は今春にも系列ディーラーの在庫をインターネット上で販売する「デジタル販売」の本格展開する見通し。さらに中古車のサブスクリプションサービスにも乗り出すなど、下取り車を活用したビジネス展開を加速する。

 デジタル技術を駆使して中古車販売に新規参入する動きも活発化しそうだ。新車リースを手掛けるナイルは19年12月、中古車の個人向けリース販売をスタートした。既存の中古車販売店と手を組み、リアル店舗の在庫をオンラインでリース契約する仕組みを投入した。このほかフリマアプリのメルカリが中古車の個人間売買取り引きを強化しはじめるなど、異業種が中古車販売ビジネスに乗り出す動きが活発化している。

 一方、展示場に大量の在庫を展示する従来の販売は、依然として健在だ。全国に店舗網を張り巡らせる大手中古車専業者は、新規出店攻勢をさらに強めており、今後もこの傾向が続く見通し。中古車販売をめぐり、業界の枠を超えた競争が本格的に始まる。