自動運転の実用を見据えた実証実験や協業が山場を迎えている。トヨタ自動車とソフトバンク、日産自動車とDeNAなど、自動車メーカーはIT系大手に代表される異業種と手を組む。また、鉄道会社やバス会社などインフラに関わる企業や自治体単位でも自動運転事業に乗り出した。今年は政府によって、一定条件下での自動運転レベル3を認める改正車両法が施行される見通し。まずは、高速道路や過疎地域での交通インフラとして導入が進むと見られており、自動運転社会が本格的に到来しそうだ。

 昨年秋には、「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)が主体となり、東京都内で自動運転の大規模実証実験を開始した。高速道路や羽田空港でレベル4相当の自動運転車を走らせ、安全性やデータの有効性を検証する。国内外の自動車メーカーが参画し、最終的には100台近い自動運転車が走行する計画だ。

 自動運転車は、限定エリア、特に過疎地域でまず普及すると見られる。それを見据え、昨年にはSBドライブと小田急電鉄、相鉄バスと群馬大学、茨城交通とKDDIなどが、自動車が地域住民の足になる過疎地域で自動運転車の実証実験を行った。収集したデータを今後の自動運転技術開発に取り込み、自動運転の到来に備える考え。今年から実証実験の成果が徐々に現れてきそうだ。