TRI-ADのカフナーCEO

トヨタ自動車グループの自動運転用ソフト開発会社のトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)の新しいオフィスが本格稼働した。お膝元である名古屋地区では集めることが難しいIT関連のエンジニアを多数確保するため、今年3月に竣工したばかりの東京・日本橋の「日本橋室町三井タワー」の16~20階に設けた。人工芝に囲まれたスペースに置かれたハンモックやマッサージチェアなど、エンジニアがフレッシュなアイデアを生み出せるよう環境に配慮した。TRI-ADの役割は、IT系の人材確保だけが目的ではない。ものづくり企業が、古い体質を脱皮して「モビリティカンパニーになる」ための重要な使命を帯びている。

2018年3月にトヨタ、デンソー、アイシン精機が出資して設立したTRI-ADは今年7月に新オフィスに移転した後も整備を続け、全面的に完成したことから12月17日に関係者と報道に公開した。多様な社員が多彩なインスピレーションを創出するための工夫を凝らしたという。

エントランスには縦3メートル×横30メートルの巨大スクリーンと3Dサウンドを備える。社員は立ち乗り電動二輪車などのパーソナルモビリティを使って、オフィス内に整備した1周200メートルの「道」を使って移動できる。掘り炬燵式で畳が敷いてある会議・打ち合わせスペースや、4つのレストランとベーカリーが並ぶフードストリート、卓球台になるテーブルを備えたカフェ&ラウンジなど、従来のものづくり企業のオフィスには見えない。米国シリコンバレーにあるIT企業のようで「エンジニアの感性を刺激できる場」(虫上広志COO)を目指した。