ジェイテクトは19日、水ビジネスに参入したと発表した。水位情報に基づき井戸の揚水量を制御するシステムをインドの自治体に納めた。同社はパワーアシストスーツや介護歩行器など新規事業の開拓を進めている。自社技術が活かせる水ビジネスも有望とみて参入を決めた。パーソナルモビリティ機器やリチウムイオンキャパシタを含め、中期的に新規事業で100億円程度の売上高を目指す。

 同日、都内で記者説明会を開いて発表した。開発した水管理ソリューション「J―WeLL(ジェイウェル)」は、井戸に水位計を設置し、流入量に応じて揚水可能な水量を割り出し、ポンプを制御する。揚水量を最適化することで井戸の寿命を延ばせるという。旧豊田工機が1986年から手がけている河川やダム管理用の水位計センサーにIoT(モノのインターネット)技術を組み合わせて実用化した。今年7月にインド・ハリヤナ州の飲料水供給システムに採用された。今後、インド国内で工業用水や生活用水用として売り込むほか、将来的には地下水の枯渇懸念がある世界各地で事業展開していきたい考えだ。

 記者説明会ではまた、開発を進めてきたリチウムイオンキャパシタの量産を始めたことも明らかにした。約30億円を投じた花園工場(愛知県岡崎市)の生産ラインが10月に稼働した。月産能力はセル(単電池)ベースで4万個。同社のリチウムイオンキャパシタは動作温度領域が広く、冷却装置が不要でコンパクトに組み込める。安形哲夫社長は「自動車のほか、建設や農業機械、電車などから多くの引き合いが来ている。2026年頃に50億円の売上高を目指す」と語った。