積み込み予定の車両をどのデッキ・ホールドに積載配置するかの計画(イメージ)
商船三井は、AI(人工知能)技術を活用して、短時間で自動車運搬船の配船計画や、輸送する車両を配置する計画を策定することに成功したと発表した。今後、実用化に向けて研究し、急な輸送量や寄港順などの変更した際、顧客に回答するまでの時間を大幅に短縮してサービスの改善を図る。
同社では、大阪大学大学院情報科学研究科の梅谷俊治准教授と、AIの基盤技術の一つである「数理最適化」を活用し、自動車運搬船の配船や輸送する車両の配置について、膨大な組み合わせの中から効率的に計画案を求めるアルゴリズムを開発した。
同社が運航する自動車運搬船は100隻ほどで、1隻で輸送できる自動車は普通乗用車換算で5000台前後。複数港で積んで複数港で揚げるケースでは、それぞれの車両をどのデッキ・ホールドに配置するかの選択が、荷役の安全性と作業効率に大きく影響する。加えて、貨物の積み揚げ順と航海中の船体バランスも考慮に入れる必要があるため、輸送する車両の配置計画作成には多くの時間を要し、難易度も高い。
AIを活用することで、配船計画に加え、各車両の積み揚げのタイミングと搬入出経路の確保も想定した上で、車両の配置を効率的に計画できる。輸送車両台数や寄港順が変更した場合でも、迅速にプランを作り直すことができるという。