曙ブレーキ 信元社長兼会長
曙ブレーキの社長に就任する宮地氏

経営再建中の曙ブレーキ工業は、9月27日に臨時株主総会を開いて、29年間にわたってトップを務めてきた信元久隆社長兼会長が退任し、ボッシュの専務執行役員などを務めた宮地康弘氏が社長CEOに就任する人事を内定したと発表した。

曙ブレーキは、北米事業の不振で財務状態が急激に悪化、1月29日に私的整理手続きの一種である事業再生ADRを申請した。スポンサー探しと、取引先金融機関に対して総額560億円の債権放棄を含む金融支援を求めて経営再建を模索してきた。

7月には事業再生ファンドのジャパン・インダストリアル・ソリューションズから200億円を調達することで合意したことから、臨時株主総会を開催して、第三者割当増資や定款変更などを諮る。経営責任を明確化するため、代表権を持つ信元社長、荻野好正副社長CFO、松本和夫副社長COOの3人はファンドからの払い込みが完了した時点で退任する。9月30日に払い込まれる予定。

信元氏は29年間にわたって同社の社長を務めてきたほか、日本自動車部品工業会の会長、トヨタ系部品メーカーの協力会である協豊会の会長を務めてきた。

新し社長CEOに就任する宮地氏は、1981年に自動車機器(現在のボッシュ)に入社し、シャシーシステム事業部営業本部副本部長などを務め、2005年にTMDフリクションジャパンの社長、2009年にボッシュの執行役員に就任し、2010年に常務執行役員、2016年に専務執行役員を経て、2017年に日本電産の常務執行役員・車載事業本部副本部長を務めている。61歳。

曙ブレーキでは、宮地氏がボッシュ、TMDフリクションジャパンでブレーキ事業に携わった経験から日系完成車メーカーと強いリレーションを築いており、完成車メーカーからの信頼回復が経営再建に必要不可欠な曙ブレーキにとって最適な人物としている。

一方、臨時株主総会では、曙ブレーキの大株主であるトヨタ自動車出身で、現在、曙ブレーキの執行役員を務める栗波孝昌氏が取締役、ファンドが推薦する廣本裕一氏と旭テックの丹治宏彰会長がそれぞれ社外取締役に就任する議案を提出する予定。