ただ、アライアンス主導権争いで、日産には不利に働く可能性がある。現在、日産はルノーの株式15%を保有するのに対してルノーは日産に43.4%出資する筆頭株主だ。しかし、日産の2018年度の世界販売が551万台、売上高が約11.6兆円なのに対してルノーの世界販売は388万台、売上高も約574億ユーロ(約7兆円)にとどまる。
ここに世界販売484万台、売上高が約1154億ユーロ(約14兆円)のFCAとルノーが経営統合すると、2018年実績の単純計算で販売台数が872万台、売上高が約21兆円となる。日産が33.4%出資する三菱自を加えた日産・三菱自グループの販売台数は675万台、売上高は約14兆円。経営統合したルノーFCAがアライアンスの主導権を握るのは確実で、今後、関係性が見直される。ただ、日産ではアライアンスから離脱する選択肢はない模様だ。
ルノーは筆頭株主のフランス政府の意向もあって日産との経営統合を求めてきた。このため、経営統合して力を増したルノーFCAが日産を子会社扱いすることを日産側は懸念する。3社アライアンスでは、電動車両や自動運転などの先進技術で、実質的に日産が先行しており、これら先進技術を取り込み、自由に活用することがルノーとFCAが統合する目的の一つと見られることも日産が警戒する理由だ。
日産では「(FCAとルノーの経営統合を想定し)今後、日産の利益確保の観点から、これまでの契約関係や業務の進め方などについて、分析ならびに検討を進めていく」としている。