世界初の水晶発振式腕時計をセイコーが発売したのは1969年である。価格は45万円だった。大卒初任給が5万円をはるかに下回っていた時代である。その後、クオーツウォッチは瞬く間に市場を席巻したが、同時に価格の暴落が始まった。10年後には数千円レベルとなり、高級感は雲散霧消した。最新技術の周辺には、時折、こうした淡い滑稽さ、ないしはペーソスが漂いがちで…