その男は黒塗りの大型乗用車から降り、紺のスーツのボタンをとめ、軽く右手を上げて歩き出す、後ろには弁護団や秘書たちを従える。何度も、この光景をテレビのニュースで見せられ、しっかりと記憶している◆その男とは元総理の田中角栄である。ロッキード裁判の出廷風景だが、当時は大胆不敵に見えた。ただ、その後のロッキード裁判経過から、今は反骨心と総理の貫禄を感じる…